教育の思考ラボ Vol.1: 深掘り!IBの本質と構造

教育の思考ラボ

序章:なぜIBは生まれたのか? 激動の時代に求められた新しい学び

 IB(International Baccalaureate/国際バカロレア)と聞くと、「グローバルな大学受験資格」や「探究型の高度な学習」といったイメージが先行しがちです。

 そもそも、IB(国際バカロレア)とは一体何でしょうか?

これは単に国際学校で提供される、特別な教育プログラムというだけでなく、3歳から19歳までの一貫した国際教育を提供するための、明確な「学習の哲学」に基づいた世界的な教育フレームワークです。

 しかし、その学習方法や評価基準は、日本の義務教育とは異なる点が多く、馴染みが薄いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 IBの真の価値と世界的な広がりを理解するには、まず、このカリキュラムがいつ、どのような時代背景のもとで、なぜ求められ、創設されたのかという、その哲学の源流に立ち返る必要があります

IBが誕生した年代と時代背景

IBカリキュラムの始まりは、高校生向けのディプロマ・プログラム(DP)に端を発します。

  • 誕生時期: 1960年代後半(公式設立は1968年)
  • 時代背景:
    • 冷戦下の国際情勢: 世界が資本主義陣営と社会主義陣営に二分され、緊張が高まっていました。
    • グローバル化の萌芽: 国境を越えて移動する「国際移動家族」が増加し始めました。
    • 既存教育への限界: 既存の各国の教育制度は、その国の大学進学に特化しており、移動する子どもたちが教育の継続性を失う事態が起きていました。

なぜIBというカリキュラムが求められたのか

 この激動と国際移動の時代において、IBは主に以下の二つの大きなニーズに応えるために誕生しました。

  1. 🎓 国際的な大学入学資格の提供:
    • どの国で教育を受けても、世界中の主要な大学へ進学できる統一された、国際的に通用する卒業資格を提供すること。
  2. 🤝 国際理解の精神の育成(平和教育の哲学):
    • 単なる知識の詰め込みではなく、**「より平和でより良い世界の創造に貢献する」**ことのできる人材、つまり「国際的な視野(International Mindedness)」を持つ生徒を育てること。

世界的な教育カリキュラムになった理由

IBが単なる数ある国際的な教育プログラムの一つで終わらず、世界的なスタンダードに成長したのは、その哲学が現代社会のニーズに合致したからです。

  • 探究学習と概念理解の重視: 暗記中心の教育から脱却し、予測不能な現代社会で求められるクリティカル・シンキング(批判的思考)と問題解決能力の育成に最適でした。
  • グローバルスタンダードへの適合: IBのカリキュラムは、世界的に認められた質の高い教育のベンチマークとして機能し、公立学校を含む幅広い教育機関に採用されるようになりました。

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この記事で探究した「IB誕生の哲学」の要点を、短時間で確認しましょう!

  • いつ生まれたの?
    • 冷戦下の1960年代後半(公式設立は1968年)。
  • なぜ必要だった?
    • 国境を越える国際移動家族のために、どの国でも使える共通の大学入学資格が求められたから。
  • 最大の理念は?
    • 単なる学力だけでなく、「より平和でより良い世界を築く」ために貢献できる人材(国際的な視野を持つ人)を育てること。
  • なぜ世界に広がった?
    • 暗記型ではなく、探究学習批判的思考を重視するIBのスタイルが、予測不能な現代社会(21世紀)に求められる能力の育成に合致したため。

参照元リンク

IB本部(International Baccalaureate Organization): https://www.ibo.org/

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